世界の越境EC市場規模と越境EC支援サービスとは

コロナウイルス感染症の流行により、気軽に旅行に出かけられなくなった現代。世界各国でEC市場が拡大しています。今回は、世界の越境ECの動向、Googleが新たに発表した日本向けの越境EC支援サービスについてご紹介します。

世界越境EC市場の動向

経済産業省の「令和2年度電子商取引に関する市場調査」報告書のデータでは、2019年の世界の越境EC市場規模は、7,800億USドルと推計され、2026年には、4兆8,200億USドルにまで拡大すると予測しています。年平均約30%の成長率で増加し、世界のB to CのEC市場規模の拡大を上回るペースになると見られています。

スマートフォンの普及、越境ECサービスの普及、自国にない商品を求める消費者行動の変化、物流レベルのアップなどが越境EC市場が広がった要因と見られています。

越境ECのビジネスモデル

越境ECのビジネスモデルには、以下6つがあります。

国内自社サイト

日本国内に越境ECの自社サイトを構えるビジネスモデルです。元々日本語で提供している自社ECサイトを多言語化することで、海外からのアクセスに対応する形の越境ECです。配送は国際配送サービスなどの直送を利用します。

国内ECモール

日本国内で越境ECに対応したモールなどへ出店(出品)する ビジネスモデルです。国内消費者を対象とした出店(出品)の延長線として海外の消費者に向けて販売します。Amazonや楽天などがその代表です。海外販売機能の申し込みをするだけで始められます。配送は国際配送サービ スなどの直送を利用します。

海外ECモール

相手国のECモールやECサイトに出店(出品)するビジネスモデルです。出店(出品)に際しては、EC モール、EC サイト運営 事業との交渉が発生したり、法的な手続きも発生するので、運営代行会社による支援を得るケースが多いです。アメリカではebayやAmazon。中国では、Tmallや輸入品専門のTmall globalやJD worldwideなどが代表的です。

保税区活用型出店

中国向け越境ECで活用されている方法で、保税区に指定された域内の倉庫にあらかじめ商品を輸送しておき、受注後保税倉庫から配送するビジネスモデルです。相手国からの発送であるため、直送と比べて、リードタイムが短くて済むメリットがあります。しかし、在庫リスクを抱えるデメリットがあります。

一般貿易型EC販売

一般貿易と同様に、国内の輸出者と相手国の側輸入者との間 で貿易手続きを行い、相手国側のECモールやECサイトで商品を販売するビジネスモデルです。一般的な BtoB型貿易において販売チャネルとしてECを活用します。

相手国自社サイト

相手国側で自社サイトを構築するビジネスモデルです。相手国において自社商品が既に浸透しており、ECサイトの運営を自社で コントロールできる体制を整えていればできる仕組みです。国によっては、法規制が厳しく、相手国で自社サイトをつくるのはハードルが高い場合があります。

越境ECのメリットとデメリット

メリット

新しいユーザーの獲得
日本国内の人口減により、今後は消費が縮小していく傾向にあります。しかし海外に目を向ければ、逆に人口が拡大している国やEC市場が活発化している国があります。海外の新規ユーザーを獲得できれば、売り上げ拡大を図れます。

現地での実店舗を持つコストなどを抑制
また、従来は海外で販売をするとなると、現地で店舗をオープンすることでした。法的手続き、物件コストなど高い投資が必要でした。現在は、EC技術や物流の発達により、インターネットさえあれば、実店舗を持つよりも安く、ECビジネスを展開できます。

デメリット

文化や商習慣の違いによるリスク
日本と違う文化を持つ海外の国では、受け入れられる商品、言語、決済システムや法規制なども異なります。越境ECに進出前には、入念なリサーチをして対策を講じる必要があります。

物流や配送網の確保
国境をまたぐための関税や国際輸送の手配などを構築するためにはコストも手間もかかります。

どこの国をターゲットにするか

ここまで、拡大する越境EC市場、販売方法、越境ECのメリット・デメリットを紹介してきました。どの国にするかで、最適な方法、乗り越えなければいけない壁も変わってきます。

しかし、どのように自社に最適の国を選べば良いのかお困りの企業もおありかもしれません。そこで、使える支援ツールとして、今年の9月に日本版がリリースされたGoogleのマーケットファインダーを紹介します。

マーケットファインダーは、企業ECサイトの海外進出に向けた準備状況を数字で確認できるほか、自社にとってビジネス機会がある国をランキングで示すことができるツールです。

1つ目の海外販売の準備状況のスコアを算出する機能は、質問に答えるだけで、その企業が越境 EC に向けてどの程度準備ができている段階なのか数値で教えてくれます。

2つ目の企業が新たに進出するべき海外市場の発見をサポートする機能は、企業ECサイトのURLを入力すると、商品やサービスがどの国でECビジネスをしていく機会があるのか、既に越境ECを行っている企業でも、その他の国に対してビジネスを広げられる機会があるのか、潜在市場のランキング上位を示します。

今まで現地調査を時間とお金をかけて行っていましたが、この支援ツールにより、気軽に越境ECの可能性を探ることができます。

まとめ

今回は、越境ECの市場規模と販売方法の種類、越境ECのメリット・デメリット、そして越境ECを一体どこで始めると相性が良く、効率的に展開できるか参考となる支援ツールを紹介しました。この記事が参考になると幸いです。