経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」によれば、2020年の中国の消費者が日本から購入した越境EC購入額は、1兆9499億円(同17.8%増)に達し、今後も増え続けていくと見られています。コロナウィルス感染症の流行により、気軽に訪日できなくなったため、益々越境ECの需要は高まっています。今回は、中国向け越境ECビジネスの立ち上げ方法とそのサポートについて解説します。
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拡大を続ける中国のEC市場
日本貿易振興会(JETRO)の報告書「中国EC市場と活用法」によれば、コロナウイルス感染症の流行で中国の消費者行動がリアル店舗での購入からECサイトへの購入へ変化していると言います。
また、インターネットの急速な普及も後押しし、農村部のECサイトユーザーが増えています。2020 年のEC小売額は11兆 7,601億元(約188兆1,616億円、1元=約16円)に達し、前年比は10.6%に拡大しました。
また、中国政府は越境ECに関する税制や規制を整備しており、越境EC事業をサポートする動きを見せていることも追い風になっています。
経済産業省「電子商取引に関する市場調査」によると、世界のEC市場規模のランキングは、1位中国(2兆2,970億USドル)、2位アメリカ(7,945億USドル)、3位イギリス(1,804億USドル)です。世界と比べても、中国のEC市場の大きさが分かります。
中国向けの越境ECの立ち上げ方法とサポート
中国向けに越境ECを行う方法は、主に5つあります。
中国の越境ECモールに出店
中国に法人を設立せずに、本格的に越境ECを行いたい企業に向いている方法です。中国では、モールでの購入が主流なため、自社サイトを開設するよりもハードルが低いと言えます。
中国大手IT企業のアリババが運営している天猫国際(Tmall Global)と京東国際(JD worldwide)が2大モールです。このサイトは、輸入品販売専門に作られたモールです。
天猫国際(Tmall Global)は、圧倒的なシェアを誇るモールです。消費者層は、安全と品質を重視する中間所得層やライフスタイルやトレンドにこだわる30歳以下の若者が中心。美容関連、食品・健康食品、マタニティ・ベビーなどが売上上位にくるカテゴリです。
京東国際(JD worldwide)は、日本に購買センターをもっており、中国市場への出店サポートをしています。消費者層は、中間層以上で、25〜36歳が49.8%、既婚者が69%、男性が62.3%。マタニティ・ベビーやデジタル製品・家電などが売上上位にくるカテゴリです。
しかし、手数料が高かったり、出店条件を満たす必要があるなど条件が年々厳しくなっています。
出店する際に、ECモールとの交渉が発生するため、中国越境EC専門の代行会社へサポートを依頼するケースが多くなっています。国内だけでなく中国本土にも代行会社があるので、沢山の選択肢があります。サービス範囲を確かめて、自社にあったプランを提供する会社にお願いしましょう。
越境ECができる自社ECサイトを日本国内で開設
日本にサーバーを置き、独自ドメインで越境ECサイトを開設します。集客の必要がないモールへの出品と違い、プロモーションにコストをかける必要があります。
また、言語に対応できるスタッフの確保、中国の決済方式を導入するなど手間がかかります。しかし、顧客データが集まることで、マーケティングしやすくなるメリットもあります。
上記のモール出店は、年々出店条件が厳しくなっているため、今後は自社の越境ECサイト構築が増えると見られています。
中国越境ECサイトの構築をサポートしている会社があります。サポート内容の範囲は会社により様々。実績や刻々と変わる中国の内情や市場や法規制にどれほど詳しいか、運用サポートを希望する場合はどこまでサポート可能なのかを確認する必要があります。
越境EC事業者に依頼
すでに越境ECを行っている事業者に、越境ECモールへの出店業務を委託する方法です。自社内に越境ECの業務を行うリソースがない場合は有効です。出店するために乗り越えなければならない、申請手続きや法律を委託先の事業者に任せることができるので、手軽に始めることができます。しかしながら、業務委託費が発生します。
中国のパートナー企業と手を組む
中国の販売代理店や輸入業者など、中国に拠点があるパートナー企業に卸売りする方法です。現地法人の開設が必要なく、集客面も任せることができます。メリットは、販売ボリュームが大きくなる点です。一方、デメリットは、パートナー企業がマーケティングを手動するため、日本からコントロールが難しい点です。
中国のオークションサイトに出品
中国の個人オークションサイト「タオバオ」に出品し、越境ECを行う方法です。中国に法人を設立せずに、コストを抑えて越境ECを行いたい企業向けです。少ない取引やニッチな中古品の販売に適していますが、安定した利益を得ることは難しい点があります。
まとめ
中国EC市場は、世界最大でこれからも成長を続ける市場です。人口が減り、消費額が少なくなっていく日本の中で、中国は魅力的な市場と言えます。しかしながら、規制、税率や文化の違いなど、簡単には進出できないのは事実です。
社内に中国ECのスペシャリストを置き、自力で越境ECを行うことは、中々難しいでしょう。現在は、中国越境モールや自社越境ECの構築をサポートする会社は多くあります。成功させるには、自社にあったサポート会社に依頼するのが確実と言えます。