レビューは売上に影響する?ジャンル別動向とレビューの集め方

オンラインショップにレビュー機能が実装されるのは当たり前になってきました。ZETA調査によると、「2021年版 ネット通販売上高ランキングTOP500」に掲載されたTOP100企業のECサイトにおけるレビュー実装率は80%を超えたとのことです。

売上とレビューには強い因果関係があると見られる一方で、機能を実装しただけでは恩恵を受けないのも事実です。今回はレビューと売上の関係から、どのようにしてレビューを集めていくのかご紹介します。

レビューの影響

売上に対するレビューの影響力をAmazon、楽天市場を中心に調査をしたところ、以下のような傾向がみられました。

・PB商品ほど、レビューが購入の決め手になっている。
・グッドマンの法則が当てはまる。
→良い評判は5人に伝える、悪い評判は10人に伝える。
→クレーマーへの対応が満足だった場合、再購入率は82%
※迅速に対応できなかった場合の再購入率は54%

レビューが売上に影響する度合いを計算で求めるにはデータが不足しているものの、以下のような仮説は妥当と考えられます。

・より多くのレビューは、より多くの購買者が背景におり、レビューの件数が購買決定要因になることもある。
・一様に良すぎるレビューは情報の信憑性が疑われる。
・最初のレビューが悪いと、その後の売上を減少させる。
・未知のものほどレビューに意思決定を委ねることになる。

カテゴリ別にレビューと購入率の関係は、以下のような分布になります。

取り扱いの商材がレビュー影響の大きいカテゴリであれば、最初の打ち手は「適正なレビュー集め」といえます。適正なレビューとは、購入を検討しているユーザがレビューを見て、購入意思決定できる内容のものです。

購入意思決定の参考にされるレビュー

レビューを確認する手順は、総合評価で上位に表示されるレビュー、低評価レビューの順となります。Amazonや楽天市場で上位に表示されるレビューは以下の共通点があると考えられます。

・「役に立った」ボタンが押されている。
・たくさんのレビューを投稿している。
・文量がそれなりに多い。
・数週間以内に投稿されている。

おそらくGoogleや食べログなどのアルゴリズムのように、皆に参考にされているレビュワーの投稿ほど価値が高い情報であると定義されているようです。

オンラインショップの場合、商品ページ→レビューの順で閲覧することになるので、ある程度は商品が絞られた段階で購入意思を固めるために利用されていると思われます。

レビュー機能は実装していなくても、インスタグラムやFacebookといったSNSはフォローしている人の投稿がきっかけで売上に繋がるので、投稿してもらいやすくする工夫も必要でしょう。

●楽天市場では、顧客視点重視のレビュー戦略

ユーザ評価の高いお店を楽天としても高く評価し、ショップの評価状況により、検索面の待遇が変わります。

【高評価の場合】
おすすめ機能の向上、トラフィック斡旋

【低評価の場合】
トラフィック減少、評価に応じた対応要請、販売商品の停止

●情報提供量と低評価レビューの相関性

PBの多いジャンルは情報量が少ないと低レビューにつながりやすく、NBの多いジャンルは情報量に対するクレームが少ない傾向が見られます。

レビューの集め方

商品ページに掲載されるレビューを集める環境は、どんどん厳しくなっています。かつてはレビューを記載する場所が商品ページに限られていましたが、今はInstagramやFacebookといったSNSに加えて、ショッピングSNS「楽天ROOM」やblog、YouTubeなど個人メディアが次々と登場し、店舗の商品ページに書き込む意味合いが薄れてしまいました。

それでもごく一部(独自調査では2〜3%程度)のユーザはレビューを書いてくれます。レビューを集めるには、レビューを書きやすい下準備を行なっておきます。

1.ストレートに依頼する。

商品を発送して2週間後を目安に、配送や商品に問題がなかったかフォローメールをお送りする原稿に、レビューを記入いただく依頼も一緒に記載します。その際、他のお客さまのレビューも紹介すると投稿いただける確率が上がります。

2.購入時にレビューを依頼する。

買い物カゴの付近に「到着後、商品レビューに協力する」といったプルダウンを見たことはないでしょうか。購入時に「レビューに協力する」を選択いただければ、その後に送信するメールにレビュー協力のお礼を記載でき、協力しようという気持ちを醸成できます。

3.レビューキャンペーンを実施する。

レビューを書いてくれたユーザに、お礼として次回使えるクーポンや粗品をプレゼントします。インセンティブはレビュー協力の動機としては最も強く、言葉だけの依頼よりも数倍のレスポンスが期待できます。

4.社会貢献活動をする。

レビューを書いてくれると、1レビューごとに社会貢献活動(赤十字、震災復興など)に寄付する活動を行います。ユーザはコストをかけずに社会貢献の一助となり、事業者もレビューが集まることで間接的に売上アップにも期待できます。

低評価レビューへの対応

レビューの中には、風評被害につながるようなものも書き込まれる場合があります。過度な期待を煽る商品説明であれば問題ですが、TVや雑誌、著名人の紹介をきっかけに購入された方は期待値が高いこともあって、低評価につながりやすい傾向があります。

そのような場合は、購入前に勘違いされないようにコンテンツや注文時の必須事項を工夫したり、低評価を受けた直後にフォローを行います。早期発見、早期対応すればユーザの誤解を解き、レビューを書き直してくれる可能性も高まります。

まとめ

オンラインショップの必須機能ともいえるレビューは、購入前の不安を取り除いたり、商品説明では伝えきれないニュアンスを感じ取っていただける無二の情報といえます。

最初に見られるのは低評価レビューなので、もし誤解を招く表現、間違った内容が書かれている場合は、ユーザに書き換えの要望をお伝えしていきます。蓄積されたレビューは企業の財産として、商品開発、販路拡大、サービス改善に役立てていきましょう。