自社ecサイトとモールの違いから最適な出店プランを考える

ネットショップを立ち上げる際、おそらく最初に考えることは自社(独自ドメイン)での出店か、楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングといったモールへ出店するか、どれが最適かということでしょう。

どこに出店するのが最適かはブランドや商材、販売手法、認知度によって総合的に判断することになりますが、何を目指すかによって手順が変わります。今回は中長期視点でのネットショップの立ち上げ手順を解説していきます。

認知度×マーケット規模

最初の起点は認知度(ブランド力や顧客リスト保有量)とマーケット規模です。この観点で上述の4つの出店プランをマトリクスにすると、以下のようになります。

規模

2.Amazon
(認知度大×マーケット小)
1.自社
(認知度大×マーケット大)
3.楽天市場
(認知度小×マーケット小)
4.Yahoo!ショッピング
(認知度大×マーケット小)

認知度

自社(認知度大×マーケット大)

認知度が高く、しかも大きなマーケットの商材であれば、迷うことなく自社ECが最適です。自社ECを構築し、最低限のSEOとプロモーションを打ち出すだけで、待ってましたとばかりにファンが飛びつきます。

とはいえ、認知度が高いということはすでに流通に商品を卸し、それなりに価格競争も生まれている状況でしょう。その場合は、自社独自の商品やここでしか買えない商品、特典を設けるのが得策です。

新たに商品を開発しなくてもシリアルナンバーを入れたり、キャラクター商品ならメッセージカードを入れる、非売品の特典をつける、といったアプローチが有効です。消耗品の場合は詰め替え用の専用容器や定期販売が有効と言えます。

Amazon(認知度大×マーケット小)

認知度が高い商品、ブランドが浸透している商品は検索で商品やサービスを探される傾向が強いと言えます。いわゆる、指名買いです。指名買い顧客の特徴として、余計な選択肢を嫌い、欲した商品・情報に直結したいという欲求が強い傾向があります。

楽天市場やYahoo!ショッピングは店舗の商品別にページ(URLアドレス)が異なりますが、Amazonは原則として1商品1ページで構成されています。そのため、モール内で同じ商品を見比べる必要がなく、しかもAmazonであれば1商品1ページなので目的の商品にすぐにアクセスすることができます。

また、プライムなら適正価格になるようAIが自動更新をしているため、面倒な工程を嫌う男性はAmazon利用率が高い傾向にあります。

楽天市場(認知度小×マーケット小)

国内最大のショッピングモールである楽天市場は多店舗展開を検討している場合、外せないマーケットです。しかしながら、上述の4象限で出店先を考えると、認知度、マーケットサイズ共に相対的に小さい場合に有効と考えることができます。

まず認知度が低い場合、狙うのは指名買いではなく、目的買いです。「何となくこんな商品が欲しいな」といった時、検索結果がファジーな楽天市場は目的買いとは外れる商品も多数表示され、それがウィンドウショッピングのように知らなかった商品との出会いを楽しめる場になっています。

おそらくモールが意図したものとは違うと感じますが、結果的に楽天市場のコンセプトである“Shopping is Entertainment”を体現しているのです。コンバージョンや流通額の観点では、いかに目的を達成させるかが焦点になりますが、使ってみて面白い・新たな出会いがある、といった観点ではモノにあふれた社会で価値が高まっていくものと言えます。

Yahoo!ショッピング(認知度大×マーケット小)

検索エンジンである“Yahoo!Japan”の運営するマーケットだけあって、検索結果の精度が高いのが特徴です。Yahoo!ショッピングではいかに検索を制するかがカギになるので、検索ボリュームと検索順位で売上が決まります。

認知度が高かったとしても競合が多数おり、すでに相当量のシェアをとられている(ランチェスター戦略的にいうと、11%のシェア獲得までに要する時間がかかりそう)であれば検索に連動した広告プロモーションコストが出せるかを検討しましょう。

まとめ

マトリクスを活用した出店順をご紹介しましたが、初期の顧客が後々も売上や利益の源泉になっていただける確率が高いです。その意味でも利益率と継続性の高い出店プランを検討し、優良顧客と長いお付き合いができる環境を整えていきましょう。