ECサイトの売上アップに向けて数々の打ち手を講じてきたものの、なかなか成果が上がらない、何をすればいいのか分からなくなるといったタイミングはどこのお店にもやってきます。
データドリブンに運営してきた店舗であれば過去の実績から効果の高い選択肢を選べる反面、実施前から売上の伸びは予想を超えなくなってきます。数年間運営をすると業務は固定化され、次のステージに上がりにくくなる○○万の壁が立ちはだかってきます。
着想の原点は現状の10倍
コンサルの現場では、当期の目標達成に向けた計画はもちろんですが、それと合わせて売上を倍にする方法も問われます。圧倒的な成長に向けた発想が必要な場合は、売上10倍の絵を描くものです。
売上10倍の絵を描くためには、以下を考えます。
・マーケットが10倍になる?それともシェアを伸ばす?
・生産(仕入れ)、倉庫、人件費増に対し、キャッシュフローは回るのか?
・同じような業態、業種で参考になる企業はあるか?
・顧客数、LTVの内訳はどうなっているか?
・達成できたら社員や顧客はよりハッピーになるのか?
・いつまで持続可能なのか?
・今抱えている課題を全て解決したら到達できる目標なのか?
こういった経営的視点から計画に落とす際にはバックキャスティング式を、現場視点で目の前の課題を解決して将来像を考える際にはフォーキャスティング式を用います。
現場には将来の売上目標や当期の売上目標といった数値が課せられても、どのように達成できるかまでは指南されないケースがほとんどです。そのため、現場自身で売上アップに向けた活動を見出していかねばならず、アイデア出しの段階で躓いてしまうことがあります。
そのような際に役立つ発想法をご紹介します。
マンダラート発想法の活用
大谷翔平がプロ野球選手を目標に作成したことで脚光を浴びた方法で、以下のようにまとめられていました。
出典:スポニチアネックス
マンダラートを使う手順は、
1.中心のキーワードを設定する。ECサイトの多くは売上/利益になるでしょう。
2.中心に書いたキーワードから、連想されるキーワードを周辺の8つのマスに書き出す。
3.2で書き出した8つのキーワードを周囲の8マスの中心に書き写し、それぞれのキーワードからさらに連想されるキーワードを8つのマスに書き出す。
こうして書き上げたマンダラート図がこちらです。
マンダラート作成の際には81マスの全てを埋めることがポイントです。さらにアイデアを広げられる場合は、別のシートに書き出してもいいでしょう。
キーワードの書き出しができたら、関連語句からアイデアを拾い出して組み合わせ、実現性と効果の二軸グラフに書き出します。
ここで、実現性はコストとリソースから分かるものの、効果はよく分からない場合があります。それでも上記のマップに「感覚的に」配置し、実行した結果によって移動します。
メジャラブルでない施策(定量的な数値指標によって判断ができない施策)は、顧客アンケートなど定性的な評価が必要になってきます。上記のマップでは「梱包材にロゴ入れ」がそれに該当します。
「ロゴを入れたら売上が上がった」と立証するには、ロゴ入り梱包材の顧客とロゴなし梱包材の顧客のリピート状況をABテストすることになり、膨大な期間とコストがかかります。その上、レビューなどで「ロゴ入り梱包材が良かった」などと書かれると、ロゴなし顧客の不満感につながるリスクもあるのです。
そのような施策を企画する際には、他社の成功していると思われる事例が自社の顧客にも当てはまるかを検討した上で、既存顧客にアンケートを実施してみるのもいいでしょう。その際にはLTVの高い顧客に対してNPS指標で高い評価が得られるかが判断ポイントになります。
まとめ
今回のようなアイデア出しをしてみると、着手していない打ち手、組み合わせたら効果のありそうな打ち手が出てきたと思います。打ち止め感が出てきた時にも、アイデアの練り直しに活用しましょう。
また、行った施策は担当者、責任者の評価を忘れずに行います。
多忙なEC運営では分析、評価が置き去りになりがちです。分析は別の記事にて詳述しますが、ここでは施策実施後の「こんなことをしたら、こんな結果が得られた。5段階では○くらいの評価」といった感想を残すようにします。
売上を始めとした定量的なことは後からでも検証できますが、その施策にかかった労力や経過、スタッフのモチベーションなどは数字に表れないため、テキストにして残しておくと良いでしょう。
この感想が別の施策時に、あるいは引き継ぎ時に役立ちますので、忘れずに残しておきましょう。