非計画購買を狙え!

購買行動は計画購買と非計画購買に大別されます。

計画購買は入店前(実店舗であればお出かけ前、ネットならPCやスマホを開く前)に何を購入するのか決めて購買するのに対し、非計画購買は、入店前には予定になかったものを購買する活動を指します。

この非計画購買の割合は2/3を占めていると言われます。半分以上の顧客が非計画購買をしているなら、購買活動に合わせた販促設計が不可欠となってきます。

非計画購買が起こる背景

ずいぶん前の資料ですが、東急エージェンシーが計画購買、非計画購買の実態を調査したことがありました。それによると、事前に商品を決め、実際に店頭で購買したのは34.8%という数値が得られたのです。

多様な商品を扱う業態では、概ねこのような分布になると思われます。

実店舗に足を運べば視覚的なアプローチに加え、匂い、人集、音楽、店員さんの声かけなど、ありとあらゆるアプローチを受けることになり、「せっかくだから」という気分も手伝って非計画購買が起こりやすいと考えられます。

非計画購買には、以下の4種類があります。

1.純粋衝動購買

店内で「これいいな」と思ったものを購買する行動を指します。
購入意思がなかったのに、気になったものを買ってしまうのはレジ前に置かれている商品も当てはまります。

2.想起衝動購買

店内で商品を目にして、必要だったことを思い出して購買する行動です。直接その商品を見ていなくても、間接的に思い出す場合もあります。

3.提案受入購買

店頭スタッフから提案されて購買する行動です。ドラッグストアで薬剤師に相談すれば、多くの場合で提案にのるのではないでしょうか。ファッションであれば、スタッフさんが積極的に声をかけますし、試食したものは高い確率でカゴに入れると思います。

4.計画的衝動購買

買い物に行く前に購入カテゴリは決めているが、何を買うか銘柄までは決めていない場合です。ウィンドウショッピングはこの割合が高そうです。

上記のほかにも、子どもや彼女におねだりされたときや、お酒に酔ってコンビニでアイスを無意識に買ってしまうケースもあります。購買活動は理性的に行っているつもりでも、衝動的に行動していることが多々あります。

ECサイトの非計画購買

一方でECサイトの場合はどうでしょうか。

リアル店舗が受動的に販促活動をかけるのに対し、ネットは能動的に使うものなのでリアル店舗ほどの作用はないと考えるのが妥当でしょう。とはいえ、ネットでも確実に非計画購買は起こっており、ユーザは無意識のうちに誘導されています。

その最たるものはレコメンドといえます。

レコメンドは直訳するとオススメ商品で、Amazonの機械学習が最も有名です。その機会学習の設計思想はAという商品を閲覧・購入した人は、Bという商品も閲覧・購入する人が多いため、Aを閲覧・購入した人にはBを薦めるという手法で、協調フィルタリングと呼びます。

この機械学習は、商品ページの閲覧数、購入数が増えるほど精度が高まり、どんどん勝手に売れる売り場となっていきます。一度、商品ページを閲覧すると、似たような商品を至るところで見かけたり、その後メールでもオススメされるのは、この機能によるものです。

購買予定の商品がほぼ固まっている場合に、特に威力を発揮します。

課題としては、新商品など閲覧数・購入数の少ない商品はレコメンド機能が働かず、初動が鈍くなりがちなことで、データが蓄積されることで初めて有効な仕組みといえます。Amazonはその不得手な部分を、登録して間もない商品を検索上位に表示することで補完しているようです。

協調フィルタリングが商品単位なのに対し、ユーザや商品の属性によってレコメンドする仕組みが、コンテンツベース・フィルタリングです。ユーザのプロファイル情報と商品の属性情報の関連性をベースにした手法で、どの関連性を重視するかをコントロールします。

例えばTVを探しているユーザがパナソニックの50インチ4K液晶ページを見たとすると、同じブランド、同じサイズ、同じ画質、同じ表示方法からピックアップして表示します。

TVを探すという目的に沿って表示することで、気に入った商品に辿り着きやすくなる反面、似たような商品ばかり表示するので一覧ページで差異が分かりにくかったり、事前に属性情報を登録しておく手間がかかります。

<参考>Amazonのレコメンド

このような機械学習が向いているのは、商品点数が膨大なECサイトです。少なくとも10,000点以上の品揃えと安定したサイトへの流入数があって、機械学習が進みます。

機械学習を導入するほどの商品点数や集客数がないサイトでは、人力によるレコメンドを行いましょう。

購買履歴や次回購入商品、あるいは店内のラインアップからクロスセル(一緒に買ってもらう商品)、アップセル(より上位の商品)、ダウンセル(下位の商品)、パッケージセル(まとめて買ってもらう商品)のどの考え方がマッチしているか考えながらレコメンド設定していきます。

購買実績がなかったとしても、クロスセルは顧客目線で設定します。

・リモコンには電池
・工具には軍手
・PCやスマホにはケースやカバー
・ベビーグッズには除菌ティッシュ
・食器用洗剤には保湿クリーム

商品を長く愛用いただく目線に立つと以下のようになります。

・PCにはブルーライトメガネ
・テントには撥水スプレー
・冷蔵庫には消臭剤
・革靴にはシューケア用品
・ダイニングチェアには椅子用ソックス

さらには、商品をカートインした際にもクロスセル商品を表示し、客単価アップにつなげます。
ついで買いと言われるが故に軽視されがちですが、これらの取り扱いがないことによって機会損失が起こっている可能性もあるのです。

ファッションのマルイウェブチャンネルでは、関連するブランド、カテゴリ、閲覧履歴、その商品を使ったコーディネートなど多彩なレコメンドを実施しているので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

非計画購買をしているユーザは、心の中で認知的不協和(矛盾する行動を正当化する)が起こっています。本来、購入する予定になかったものなので、自分を納得させる理由を探しているのです。

今だけ・先着○名・期間限定といったアプローチから、強制的に認知的不協和を起こさせる「1日1分エクササイズで理想の体型」といった潜在欲求を満たすメッセージも効果的です。

予想外のいい出会いを提供して、非計画購買につなげていきましょう。