楽天で質の高い集客をする方法

楽天市場を運営されている店長に「今の課題は何ですか?」と質問すると、8割以上が集客に課題があると答えます。では、なぜ集客が課題なのかとさらに質問すると、「いい商品を販売しているので、商品を知ってもらえば売上は上がる」という答えが返ってきます。

賢明な店長であれば、単に集客数を増やすだけではなくそれと同時に集客の質も求めるでしょう。質の高い集客とは、購入に結びつく顧客=見込顧客に対して適切にアプローチをしていくことです。

今回は、集客の質を可視化するプロセスについて解説していきます。

集客数が増えても売上が伸びない原因

自社の商品を買っていただいているお客様はどんな人なのか、具体的に語ることはできるでしょうか。また、そのお客様がなぜ商品を購入することになったのかきっかけやタイミング、買い方、決断までの期間は把握されているでしょうか。

顧客を理解する(インサイトを得る)ことが商売の第一歩と言えます。多額のコストをかけ、マーケティングの専門家に依頼しなくても、誰でも簡単にできる方法があります。それは自分自身が顧客になることです。

自腹で自社の商品を買うとき、顧客の気持ちへの理解が一気に進みます。仮に購入する商品が普段使いするお皿だったとしたら、以下のようなことが気になりませんか。

・〇〇焼きや、ブランドのものか
・盛り付け例など、インスタ映えするものか
・電子レンジや食洗機に対応しているか
・同じシリーズで茶碗やサイズ違いのお皿はないか
・送料無料まで他に買いたいものはないか
・梱包はきちんとされているか(割れていた際の保証は?)
・いつお届けしてくれるのか
・他店でも取り扱ってないか

普段から商品に触れ、販売をしている立場だったとしても、これらのことが気になるはずです。
逆にいうと、普段使いのお皿を探している顧客であれば、上記の情報が網羅されていると購入を検討いただける確率が上がります。

お客様が購入時に気になるであろう情報は漏れなく記載するようにしましょう。

購入条件を満たしても売れない原因

上述したお客様の気になる点が網羅され、販売条件を全て満たしていても売上につながるとは限りません。これは心を揺さぶる何かが足りていないからです。人の行動の95%は無意識に支配されていると言われています。

人の脳は体の2%しか占めていないのに、エネルギー量は20%も消費していると言われています。そのため、いかに考えないかによってエネルギー消費を抑える性質が備わっています。エネルギー消費の中でも顕著なのが、何かを決定することです。

今日着る服はどれにするか、傘は持っていくか、ランチは何にするか、夕食は何を食べようかなど、日常生活だけでもたくさんの意思決定を行い続けています。しかし、脳が疲弊しないように調整できているのです。

エジソンは人は考えないためなら、あらゆる努力をするという名言を残しています。ネットを使って、何でもすぐに調べられる現代においては、エネルギー消費を抑える機能はさらに顕著になっていると思われます。

話を戻すと、心を揺さぶる何かとは顧客が感じる価値が、最大化されるように商品を定義付けすることです。特にメーカーECでは開発力・商品力を伝えたいがゆえに世界初・最軽量といったスペックを商品カテゴリーに合わせるパターンを多く見かけます。

AppleがiPodを発表したときポケットに1000曲と表現したのに対し、日本企業は◯GBの大容量と性能で競っていました。顧客目線で考えると、外で音楽を楽しみたいというニーズに対して容量を言われてもピンと来ないですよね。

商品の定義付けとは何も難しいものではなく、顔見知りの人に商品を紹介するときに使う言葉と考えてください。商品のニーズと合致する人にほど、より適切な言葉を選んでいると思います。社内や友人、ご家族など潜在顧客と思われる方に商品をアピールして、反応を観察してみましょう。

顧客と商品が出会えていない原因

販売条件を満たし、見込顧客に魅力的なキャッチコピーが準備できたら、あとは商品との出会いの機会を作ります。楽天市場に出店したとき、商品を登録すれば勝手に売れていくと思っていた場合は肩透かしをくらったと思います。

いくら待っても売れないので広告を出したり、ポイントを10倍つけたりしても、なかなか売上が上がらない。この原因は、商品を潜在的に欲している顧客にリーチできていないからです。試しに、自社の商品に辿りつけるのか、楽天内で試してみてください。

その商品の指名買いに近しくなるまで検索ワードを追加しないと、検索結果にも出てこないかもしれません。集客の質は、見込顧客との接点の多さと考えることができます。接点がどこにあるかは、RMSにある顧客データ、商品データから類推することができます。

※楽天では購入した個人を特定して分析、検証することができませんのでご注意ください。

顧客データ、商品データを独自の分析ツールのサンプル画面を元に説明します。

顧客データ

新規注文、リピート注文

この店舗では、新規注文は月(季節)によって左右されていますが、リピート注文は緩やかに上がっています。後半ではリピートによる売上比率は40%近くまで上がっていますので、積極的に新規獲得に向けた施策を打ち出していけます。

もし1年以上運営してリピート売上比率が10%以下であれば、リピート注文による売上アップを目指すよりも、新規獲得に比重を高めつつ、リピート率を上げる施策を試していくのがいいでしょう。

会員ランク、性別

店舗が取得できるデータは購入者ではなく、店舗に来店(アクセス)されたお客様という点に注意が必要です。このデータでは、誰に対してリーチできているのかという観点で確認し、狙っている顧客セグメントとは異なるアクセスが多い場合は、集客方法を改善する必要が出てきます。

特に、楽天会員ランクのダイヤモンド、プラチナの比率が高い場合はポイント施策が有効に働くケースが多いです。逆に会員ランクが低い顧客が多いならクーポンやおまけが有効です。また、このデータはデバイス別に参照できますので、PCとスマートフォンによる顧客層の違いも知ることができます。

楽天全体としてはスマートフォンの売上、ユーザ比率は70%を超えていますが、商品を探すのはPCで、購入はスマートフォンを利用される店舗はPCのアクセスを見るようにしましょう。

商品データ

注力商品マップ

商品軸による集客の質を高める方法は、集客数、購買率、売上をバブルチャートにし、注力商品を選定します。

このようなバブルチャートによって商品を可視化すると、どこに力点を置けばいいのか一目瞭然となります。

アクセス高×購買率高:現在主力商品。利益率を高めるコストカット、競合優位性の維持を講じる

アクセス高×購買率低:商品ページ改善に加え、他の商品へ誘導するサイト内動線をつける

アクセス低×購買率高:金脈になる可能性があり、広告を含めた集客施策を行う

アクセス低×購買率低:取り扱いの継続判断をする。新商品もここに含まれるので一定のアクセス数/購買数になってから再検証

注力商品CVR推移

実施した集客施策の評価には、対象商品の売上と購買率(CVR)の推移をみて確認します。時系列で上昇傾向にあるかを確認しつつ、季節要因は前年同月と比較して集客数、CVR、売上を確認しましょう。

まとめ

集客施策を講じると購買率は反比例する場合がほとんどです。集客数が増えても、購買率が維持できれば、理想の売上曲線が描けるようになりますので、集客の質を高める改善を地道に続けていきましょう。