ECサイトのリニューアルを成功に導くステップを8回に渡って紹介する今回は、最終回の評価と改善編です。
《ECサイトリニューアルのステップ》
①準備
②コンセプト
③サイト構造
④コンテンツ
⑤デザイン
⑥システム
⑦依頼先
⑧評価と改善
ここまでの流れでサイトの制作、運用は滞りなく進められる環境が整ったのではないでしょうか。サイトのリニューアル後(あるいはリニューアル直前)からは、売上を高めるための仕掛けとその改善がテーマになります。
集客施策
サイト構造やSEOキーワードといった内部施策は講じているので、主に外部施策として広告および自社メディアの活用が考えられます。広告は予め設定したKPIに向けて、軌道にのるまで細かなチューニングを要します。
担当者をアテンドできない場合は専門会社に委託することになりますが、完全にお任せせずに、最低限の知見を持ち合わせて対等な立場で進めましょう。
広告は主に以下の種類があります。
ディスプレイ広告 | 検索連動型広 | リターゲティング広告 | アフィリエイト広告 | |
配信方法 | 関連性のあるサイトに表示 | 検索キーワードに連動して広告文を表示 | 一度来訪したユーザに再度広告表示 | 商品紹介記事からページリンク |
目的 | 認知 | 刈り取り | 再認知、想起 | 商品検索時の第三者レビュー商品理解、欲求醸成 |
ユーザマインド | 課題、悩みへの気付き | ニーズが明確 もっと商品を知りたい |
購入への動機付け | 情報収集、検討中 |
購入意欲 | 低い | 高い | 中 | 低い→高い |
重要ポイント | アテンション、インパクト | 分かりやすさ、購入しやすさ | お得感、限定感など購入への動機付け | 分かりやすさ、購入しやすさ |
広告を打つ際に、最も意識すべきは主張と導線の一貫です。広告に掲載したクリエイティブ(主張)が遷移先LPでも同じように主張され、顧客の便益と購買条件がマッチすることで売上につながります。
広告は配信先メディア、配信方法、ターゲティング、広告クリエイティブ、ランディングページ、注文方法まで一貫する必要があり、特に広告運用会社に外部委託する場合は予算の消化を目的にされないように注意が必要です。
自社メディアでは、すでに顧客リストを有している場合は、そのリストの活用をすることになります。特に購買履歴のあるリストはリニューアルによって「使いにくい」「なんだか私の好きな感じでなくなった」といったマインドが醸成されると離反してしまいます。
リニューアル前には事前告知し、クーポンや会員限定企画を行うことで離反対策を行います。
自社メディアは外部施策でありながら広告コストがかからないので0円でPRでき、ファンの醸成にも向いています。メディアにはYouTube、Instagram、Facebook、Twitter、LINE、blogがあり、見込顧客がよく使う媒体を選びます。
ユーザとのコミュニケーションが発生する媒体を運用する際には、対応方針や炎上時の対応フローも検討しておきます。
解析環境
集客後はサイト内でユーザがどのような行動をしたかを測るアクセス解析と、既存客がリピート購入しているのかを測る顧客解析の環境を整えておきます。基本的に新規顧客の売上はアクセス解析ツール、既存顧客売上はCRMツールを利用することが多いです。
アクセス解析でよく利用されるのはGoogle Analyticsで、ページ毎のユーザ数、ランディングページ、カートイン数、売上、CVRなど多様なデータを取得することができます。アクセス解析で注視するのは、訪問者数や購入率が計画通りにいっているかといった大枠から、未達の場合はどこがボトルネックになっているのかを見つけ出すことです。
アクセス解析の手法は別の記事で詳述しますが、全体像から細部へ、うまくいっているかの判断には期間比較を用います。多くの場合、集客の質に課題があり、計画以上の顧客が来店していても、見込顧客ではないために著しく購買率が下がるケースです。
数字上は購買率に課題ありと見えますが、いくらページを改善し、セールを始めとしたキャンペーンを展開しても売上には繋がりません。リーチする対象、クリエイティブ、ランディングページなど一連の流れの問題点を見つけるのが課題解決の近道となります。
顧客解析(CRMツール)はRFM分析をベースにするものが多いです。RFMとはRecency(直近購入日)、Frequency(来店頻度)、Monetary(購入金額)の頭文字をとった略称で、それぞれにランクをつけて総合点の高い顧客を増やしていく手法です。
この手法が効果を発揮しやすいのは、いつも異なる商品をオファーする場合です。例えばワイン、キャンプ用品、食器、書籍といったものはいつもと異なる商品を購入するケースが多く、適切なオファーが売上を左右します。(同じ商品を買い続ける顧客もいますが、その場合は何もしなくてもリピートしていただける可能性が高いです)
適切な順番でオファーしていくことで次の購入につなげ、いつもいいオファーができる店舗のメッセージは、他社よりも耳を傾けてもらいやすくなります。CRMの精度を上げるには分析結果を反映していくのが理想ではあるものの、データが貯まらないと適切なオファーにならないというジレンマがあります。
当初は顧客をよく見ている担当者、その道の専門家が次に何をオファーすれば顧客が喜ぶのかを考えて進めるのがいいでしょう。新規客を増やす活動と、既存客を維持する活動は同時に進めることになりますが、安定成長期には50:50の割合で推移することを目指します。
まとめ
ECサイトのリニューアルに関して、8回にわたり解説してきました。準備からステップごとに問題点を着実に解決していくことで、ECサイトをよりよいものへと改善できるでしょう。