ECサイトのリニューアルを成功に導くステップを8回に渡って紹介する今回は、7回目の依頼先編です。
《ECサイトリニューアルのステップ》
①準備
②コンセプト
③サイト構造
④コンテンツ
⑤デザイン
⑥システム
⑦依頼先
⑧評価と改善
ECサイトのリニューアルを行うフェーズでは、デザイン、コーディングからECシステム、そして運用負荷を軽減するオペレーションまで考えて構築していくことになります。
多くの場合、この全てを社内で、そして高いレベルで実行することは難しいといえます。
ECの運営には少なからず外部の力も借りながら構築、運営を進めることになりますので、何をどこに依頼すればスムーズに進行できるのかご紹介します。
Contents
役割分担
制作物のリストと外部委託先を含めた担当を割り当てます。ここではできるだけMECE(漏れなくダブりなく)にリスト化し、公開予定日から逆算でスケジュールしていきます。
内容 | 外部委託可否 | 委託時の準備物 | |
サイト設計 | 導線設計 | × | |
サイト構成 | ○ | RFP | |
ページ設計 | ○ | RFP | |
コンテンツ作成 | トップページ | × | |
企画ページ | × | ||
お買い物ガイドページ | ○ | 現状のもの | |
商品ページ | × | ||
FAQページ | × | ||
法令対応ページ | × | ||
デザイン作成 | デザインガイドライン | ○ | 現状のもの |
トップページ | ○ | ||
企画ページ | ○ | ||
商品ページ | ○ | ||
デザインパーツ | ○ | ||
コーディング | ○ | ||
システム | システム選定 | ○ | RFP |
システム設定 | ○ | ||
データインポート | ○ | ||
受注システム連携 | ○ | ||
テスト | ブラウザチェック | ○ | 対応範囲 |
購入テスト | × | ||
受注オペレーション | × | ||
問い合わせ対応 | × |
|
役割分担が完成したら、RFP(提案依頼書)を準備します。RFPは一般的に、企業から外部委託先に要件をまとめた資料を指します。RFPではプロジェクトの背景、目標から納期、予算、選定基準を示し、いくつかの委託候補先から見積もりと合わせてプレゼンを受けます。
RFPがあれば、同じ条件で各社の強みを活かした提案を受けることができ、選定時も公平に行うことができます。委託先選定の際には、以下の記事もご参考ください。
運用フェーズ
ECサイトをリニューアルした直後は、慣れないシステム、積み重なる問い合わせやクレーム、サイト内の間違った記述、思いもよらないミスなどが頻発する可能性があります。十分に準備していても、以前とは異なる仕組み、オペレーションに現場は混乱し、ミスも増えてしまいます。
次はタスクです。例えばランキングやオススメ商品の更新、メールマガジン、SNSへのアップなどです。公開前に十分なオペレーションテストができていない場合は、広告やプロモーションは控えめにし、テストを兼ねたプレオープン期間を持たせるのが良いでしょう。
顧客対応では注文の状態把握がスムーズに行えないと、二次クレームにつながる恐れもあり、大切な顧客を失いかねません。また、リニューアル後の運用を円滑、かつ低コストで実現するような設計も欠かせません。
運用フェーズで特に重荷になるのが、定期対応を行う定期タスク。売上をつくるための行動ではあるものの、あらかじめ決めたタイミングで実施することに重点が置かれるために「こなす」ことが目的になりがちです。
その一方で現場には売上目標も掲げられるため、定期タスクはいかに省エネにするかが求められます。この省エネを実現するにあたって、初期フェーズで運用負荷を考慮しながら設計したいものです。これまで定期タスクに追われて売上アップにコミットできない現場を見続けてきたので、使いにくいシステム導入にならないように現場も巻き込みながら構築していきます。
どこに何を依頼すればいいのか
ECの運営は多岐に渡るため、どこに何を依頼するかに加えて、外部委託し続けるのか、いずれは内製化の方針なのかも検討しておきたいところです。育成の観点を売上インパクトと独自性(専門性)で分けると、以下のように判断いただくと良いでしょう。
1. 独自性高+売上インパクト高
売上の源泉になる、最も重要なタスクです。自社の商品とそれを欲する顧客との接点を増やし、他社に真似のできない売れる仕組みづくりを行います。売上アップノウハウを蓄積していく領域にはエース級の人材をアテンドし、事業の持続的な成長を牽引してもらいます。
2. 独自性高+売上インパクト低
業態の特殊性に合わせたタスクで、育成に時間を要します。リーダーがいかにスタッフを教育し、商品情報、顧客理解、業界基準の知見を高め、スキルアップを支援していきます。レバレッジをかけるには業務の標準化が必須で、他力をどんどん活用できる環境をつくっていきます。
3. 独自性低+売上インパクト高
振りやすいタスクではあるものの、その量が多い領域です。例えば商品登録、ランディングページの作成、定期更新といったものが挙げられます。経験値が高いほど業務フローや環境が整っているため、その道の専門家に委託を検討します。将来的に内製化を図りたい場合は教育や制作物のソースを提供してくれる委託先を探します。
4. 独自性低+売上インパクト低
生産性の低いタスクはいかに切り捨てるかが肝要です。ある調査によると、この領域のタスクに30%も割かれているそうで、会議が最たるものでしょう。アウトプットの出ない会議、読むだけで済むような会議をやめれば生産性は上がります。JTでは、会議の目的、決定事項、結論の報告を義務化したことで形骸化した会議の削減につながったとのことです。
まとめ
価値ある業務かは定期的にチェックし、継続業務は標準化し続けることで規模の拡大につながります。売上と利益の両方を上げ続けられる仕組みに向けて取り組みましょう。利益を上げ続ける仕組みに関して、「価格競争の激しいECサイトを利益体質へ 」で詳しく解説しているので参考にしてください。
次はサイトリニューアルにおける最後のステップ、 評価と改善に関して解説します。